「投票したいが政策がよくわからない！」「何だか選挙に興味がわかない！」福島中央テレビはそんな思いに応えます。「選挙報道は投票日の前に！」と題し、福島の舵取りを担う福島県知事選挙を深掘りします。３０日の投開票に向けて、県民の思いや候補者への独自アンケートを基に考えるシリーズ・２回目は「深刻な人口減少と移住政策」です。

■「福島県の人口って何万人…」ご存知ですか？

現在の福島県の人口は１７９万３５２２人（今年８月現在）。戦後の１９４５年以降、初めて１８０万人を割りました。２０４５年には１３０万人になるという試算もあります。少子高齢化に原発事故の影響も重なり人口減少に歯止めがかからない中、地域に活気をもたらす「移住者」を受け入れる動きが活発になっています。

2021年度に福島県内に移り住んだのは、1532世帯2333人で前の年度(1116人)から倍増しました。特に原発事故で一時避難指示が出た12市町村でも、移住者が倍に増えています。手厚い支援策に加え、復興に関心を持つ若年層が増えていることが背景にあるとみられます。

福島県楢葉町に今春に移住した日野涼音（りょう）さん（２３）は山形県の出身。大学時代に楢葉町でインターンシップをしたことがきっかけでした。移住者とシェアハウスをしながらＮＰＯ法人の職員として浜通りの街づくりに携わっています。

「色々な人がそれぞれの街への思いを持っていることが素敵だなと感じる場所です」地元の人々と移住者とが結び付き、力を掛け合わせる大切さを感じています。
 

■県知事選への思い「私たちが社会を作る」

「元々商店だった場所をお借りして子どもたちの遊び場を１０月からオープンしました」日野さんは商店を改装した遊び場を手掛け、子どもたちが自由に遊べる機会を週に３回設けています。地元住民で家主の管野吉美さんも街を切り拓く力に頼もしさを感じています。

「楢葉町は全体的に他に移動した方もいますが、新たに生まれ変わる力に期待しています。日野さんならやってくれるんだろうね」

２０２０年からのコロナ禍は移住への追い風となりました。完全に転居するのではなく、都市と地方の２拠点を往復するなど選択肢は広がってきています。移住者という新たな風をきっかけに、地元住民も町づくりを自分事として捉える機会になっています。数ある移住先から福島を選んでもらうためには？―従来にはない新産業へのビジョンも県知事選挙における大切な争点です。
 

「福島に関わり始めてから社会は私たちが作っていくという気持ちになりました。ちゃんと候補者を選ぶことが必要だと思います。この地域は本当に魅力的なので、外から来る人が地元住民と触れ合える施策があるともっと魅力が伝わるのではないでしょうか」（日野さん）

ここからは中テレの独自アンケートを基に候補者の主張を一気読みしましょう。

■人口減少対策　候補者への独自アンケート

【アンケート①】県内の少子化・高齢化・人口減少問題にどのように取り組んでいく考えですか。

内堀雅雄氏（無・現）
結婚・出産・子育ての切れ目のない支援、仕事と育児が両立できる働きやすい職場環境づくり、若者の県内定着・還流の促進に向けた既存産業の振興や新産業の創出等の魅力ある雇用の場づくり、移住・定住の推進など、総合的に組んでいく。

草野芳明氏（無・新）
人口減少の特徴の１つは若年層の県外流出。高等教育の充実、最低賃金時給 1,500 円や持続可能な農業支援など 若者が安心して学び働ける環境をつくる。また子どもを産み育てやすい環境整備に重点を置き、子育て・教育予 算抜本拡充で家計を応援。バス・電車代補助で高齢者の足を確保し健康で長生きできる福祉型県政へと転換する。

【アンケート②】福島イノベーションコースト構想（福島国際研究教育機構も含む）への評価について教えてください。

内堀雅雄氏（無・現）
福島ロボットテストフィールドを始めとした拠点施設の整備が進むなど、産業復興に向けて着実に進捗している。福島国際研究教育機構についても、世界に冠たる創造的復興の中核拠点として、県全体に効果が波及することを期待している。

草野芳明氏（無・新）
2019 年度県政世論調査でイノベ構想を「知らない」と答えた県民は 83.3％。イノベ構想は県民の復興への思いとはかけ離れ、県民抜きの惨事便乗・呼び込み型復興である。「福島国際研究教育機構」は世界トップレベル の研究を行うとしているが中身が何も示されておらず被災地をあらゆる研究の実験場にすることは許されない。

「選挙報道は投票日の前に！」次回は投票率が低迷する若者の声に耳を傾けます。