2019.01.29
memories at the beginning of 2019
3日も同じ浦和の会場。とある高校のサッカー部の先生にお会いする。
「きのうの尚志、完璧でしたね。優勝しちゃうんじゃない?って位」
ちょっと興奮気味にそう話された。東福岡相手にあの試合内容を見れば、尚志への期待度が上がるのは当然だ。ただ、この日の相手は、前回大会を制した群馬の前橋育英だ。それにしても、神村学園、東福岡、前橋育英、なんと勝ち抜くのが難しいやぐらに入ったものか。
案の定、簡単にはシュートチャンスを作れない。それでも前橋育英に失点を許さず、前半を0-0で折り返した。
尚志ベンチは後半から、東福岡戦で駄目押しの2点目を決めた高橋選手を投入。その高橋選手がペナルティエリアの外で、後方からのパスを半身を開いて左足で受けると、すぐさまゴール方向に向きを変えて右足でドリブルを仕掛けようとしたところで、相手ディフェンスの足がかかる。長いホイッスル。このフリーキックのチャンスに、染野選手が蹴る、と見せかけてからの沼田皇海選手のシュートが直接ゴール右隅へ。セットプレーから尚志が先制する。
この日の尚志がすごかったのは、その2分後。サイド攻撃では何度も1人で、ドリブルやトラップで相手ディフェンスを翻弄してきた加瀬選手が、ここでも魅せた。ペナルティエリアの中で、トラップで相手選手の重心を逆に動かすと、両足を開いて踏ん張った相手選手の股を抜き、”自分からの、数秒後の自分へのパス”的なボールでかわす。すかさずもう一人の選手が寄せてくるものの、ボールに触らせないボディバランスとトラップから素早くクロスボール。逆サイドに尚志の選手が3人待っていて、一番加瀬選手寄りの選手がスルー。その先にいた染野選手がダイレクトで右足を振り抜きシュート。恐らく相手選手に当たって弾かれたボールがゴールへ。一気に2点差にリードを広げたのだ。
しかし前橋育英に反撃され、後半31分に1点差に詰め寄られる。しかも痛い事に、守りの要の一人、黒澤誓哉選手が、後半39分に今大会2枚目の警告。詰まり、勝っても次の試合は出られない。そんなピンチもありながら凌いだ尚志が、前回覇者を破って2-1でベスト8進出を決めた。試合終了の瞬間、黄色と黒の縦じまのユニホームは、緑のピッチに膝を折るように崩れ落ちた。前橋育英は前回優勝で2回戦からのスタートだけに、僅か2戦での敗退。もっと一緒にこのメンバーでサッカーをしたかった筈、泣き崩れる前橋育英イレブンに肩をたたいて声をかける尚志イレブンの姿が印象的だった。
「きのうの尚志、完璧でしたね。優勝しちゃうんじゃない?って位」
ちょっと興奮気味にそう話された。東福岡相手にあの試合内容を見れば、尚志への期待度が上がるのは当然だ。ただ、この日の相手は、前回大会を制した群馬の前橋育英だ。それにしても、神村学園、東福岡、前橋育英、なんと勝ち抜くのが難しいやぐらに入ったものか。
案の定、簡単にはシュートチャンスを作れない。それでも前橋育英に失点を許さず、前半を0-0で折り返した。
尚志ベンチは後半から、東福岡戦で駄目押しの2点目を決めた高橋選手を投入。その高橋選手がペナルティエリアの外で、後方からのパスを半身を開いて左足で受けると、すぐさまゴール方向に向きを変えて右足でドリブルを仕掛けようとしたところで、相手ディフェンスの足がかかる。長いホイッスル。このフリーキックのチャンスに、染野選手が蹴る、と見せかけてからの沼田皇海選手のシュートが直接ゴール右隅へ。セットプレーから尚志が先制する。
この日の尚志がすごかったのは、その2分後。サイド攻撃では何度も1人で、ドリブルやトラップで相手ディフェンスを翻弄してきた加瀬選手が、ここでも魅せた。ペナルティエリアの中で、トラップで相手選手の重心を逆に動かすと、両足を開いて踏ん張った相手選手の股を抜き、”自分からの、数秒後の自分へのパス”的なボールでかわす。すかさずもう一人の選手が寄せてくるものの、ボールに触らせないボディバランスとトラップから素早くクロスボール。逆サイドに尚志の選手が3人待っていて、一番加瀬選手寄りの選手がスルー。その先にいた染野選手がダイレクトで右足を振り抜きシュート。恐らく相手選手に当たって弾かれたボールがゴールへ。一気に2点差にリードを広げたのだ。
しかし前橋育英に反撃され、後半31分に1点差に詰め寄られる。しかも痛い事に、守りの要の一人、黒澤誓哉選手が、後半39分に今大会2枚目の警告。詰まり、勝っても次の試合は出られない。そんなピンチもありながら凌いだ尚志が、前回覇者を破って2-1でベスト8進出を決めた。試合終了の瞬間、黄色と黒の縦じまのユニホームは、緑のピッチに膝を折るように崩れ落ちた。前橋育英は前回優勝で2回戦からのスタートだけに、僅か2戦での敗退。もっと一緒にこのメンバーでサッカーをしたかった筈、泣き崩れる前橋育英イレブンに肩をたたいて声をかける尚志イレブンの姿が印象的だった。
試合前の尚志イレブンの練習と、それを見つめる(恐らく)サッカー少年。 |
5日は神奈川県の等々力が決戦の舞台。千葉の実家から郡山までの乗車券と新幹線指定席券をおさえ、帰路の準備は万端だ。
駅から競技場への道沿いには、フロンターレのフラッグが幾つも下がっている。そういえば初戦の大宮はアルディージャのオレンジのフラッグや花壇、浦和はレッズのフラッグが幾つも見受けられた。サッカーで盛り上がる街、地元に愛されるチーム、町の風景からそんな事が正月でも感じられる。
ベスト4をかけた対戦相手は、帝京長岡。前半の半分、20分を過ぎたあたりで、ひょんな事から試合は動く。
帝京長岡がディフェンスラインからビルドアップしようとした時、前にいる選手にパスをしようとしたのだろうか、そのパスが短くなってしまう。プレッシャーをかけに前線にいた二瓶由嵩選手がすかさずボールを奪う、もう1人前線にいた染野選手は既に走り出している。相手ディフェンスは2人。近い方の選手は、上がってくる二瓶選手のパスコースを消しにかかる。その相手選手の右に柔らかくボールを流す。その相手選手の後ろをクロスするように走ってきた染野選手が、トップスピードでボールへ向かう。もう1人の相手選手は染野選手につくのが精一杯。染野選手はそのボールに追いついた右足でもって、ダイレクトで相手選手のついてくるゴール左方向へ。これがゴール左に決まり、尚志が先制する。
対する帝京長岡も、再三チャンスを作りシュートを放つが、尚志の守護神、森本選手が、最後はシュートを止める・弾く!虎の子の1点を守り切った尚志が、震災の年以来7年ぶりのベスト4進出を決めた。
喜びの内に私の正月休みは終わり。だが実家に携帯電話を忘れた事に気付き、直接郡山に戻れなかったのは痛いタイムロスだった。次は1週間後の準決勝だ。(つづく)
駅から競技場への道沿いには、フロンターレのフラッグが幾つも下がっている。そういえば初戦の大宮はアルディージャのオレンジのフラッグや花壇、浦和はレッズのフラッグが幾つも見受けられた。サッカーで盛り上がる街、地元に愛されるチーム、町の風景からそんな事が正月でも感じられる。
ベスト4をかけた対戦相手は、帝京長岡。前半の半分、20分を過ぎたあたりで、ひょんな事から試合は動く。
帝京長岡がディフェンスラインからビルドアップしようとした時、前にいる選手にパスをしようとしたのだろうか、そのパスが短くなってしまう。プレッシャーをかけに前線にいた二瓶由嵩選手がすかさずボールを奪う、もう1人前線にいた染野選手は既に走り出している。相手ディフェンスは2人。近い方の選手は、上がってくる二瓶選手のパスコースを消しにかかる。その相手選手の右に柔らかくボールを流す。その相手選手の後ろをクロスするように走ってきた染野選手が、トップスピードでボールへ向かう。もう1人の相手選手は染野選手につくのが精一杯。染野選手はそのボールに追いついた右足でもって、ダイレクトで相手選手のついてくるゴール左方向へ。これがゴール左に決まり、尚志が先制する。
対する帝京長岡も、再三チャンスを作りシュートを放つが、尚志の守護神、森本選手が、最後はシュートを止める・弾く!虎の子の1点を守り切った尚志が、震災の年以来7年ぶりのベスト4進出を決めた。
喜びの内に私の正月休みは終わり。だが実家に携帯電話を忘れた事に気付き、直接郡山に戻れなかったのは痛いタイムロスだった。次は1週間後の準決勝だ。(つづく)
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