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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
memories of the semifinal games
 昨年の内から、今年度の冬休みは1月9日~14日にとると決めていた。ちょうど私が担当している『ゴジてれChu!』の14日(月)の放送が、全国高校サッカー選手権の決勝中継の為にお休みで休みが長くとれるから、そしてその決勝に尚志が勝ち上がっている可能性があり、福島県勢初の決勝の舞台を生で見たいと思ったからだ。その思惑通り、尚志はベスト4進出を決めてくれた。風は私に吹いている…。
 そこで冬休みの大阪旅行は短めに切り上げ、土曜日の準決勝第1試合に間に合うべく、新大阪7時半発の新幹線で埼玉スタジアム2〇〇2に向かった。
 最寄り駅は埼玉高速鉄道の「浦和美園駅」。だが一つ手前の東川口駅で、列車がものすごい混雑になった。JRから準決勝の観客が乗り込んできたからだ。準決勝からは競技場の指定席も販売される。大阪出発だと試合開始30分前に着くのがやっとだったので、前の日に席をとっておいて正解だった。
 終点の浦和美園駅に着くと、ホームから改札への階段から、人でびっしり。折り返しの列車に乗りたいお客さんが、階段を降りるのも苦労する位の混みようだった。駅前のコンビニは昼食や飲み物を買う人で行列。空から降ってきたものが、地面に落ちると固い音がする。雪だった。
 歩いて15分位か、埼スタに到着。おおお、大会名も大きく出ている。
 準決勝は、手荷物チェックも行われた。私が着いた頃には先発メンバーの発表も行われていた。
いよいよ来たぞ、決戦の舞台。胸が高まり、自然と早足になる。
いよいよ来たぞ、決戦の舞台。胸が高まり、自然と早足になる。
 埼スタでは、嘗て高校サッカーの全国大会の実況をした事もありました。福島東対大分の1回戦です。
 その時の実況用のコメント資料が残っていました。

「今年のワールドカップで、ベルギーと引き分けた日本代表が初めて勝ち点1をあげた、埼玉スタジアム2〇〇2。あれから210日、日本が初のベスト16入りを果たす第一歩を踏み出した会場で、今度は将来の日本のサッカーを担う高校生たちが、夢の国立に向けて第一歩を踏み出そうとしています。
 ワールドカップイヤー最後の試合は、選手権初勝利を目指す黄色いユニホーム県立福島東高校と、前回惜しくも国立の一歩手前=ベスト8で逆転負けを喫し、今年その雪辱を誓う、私立大分高校との対戦です。」

 色々考えたんですなぁ。
 そしてこの年は、萬代宏樹選手(今年からラインメール青森FC加入、元ベガルタ仙台)擁する福島東が、福島県勢として19年ぶり2度目のベスト8に進出。初の県勢ベスト4を前に敗れた年でした(2011年度の尚志のベスト4まで、福島県勢にとってベスト8の先には大きな壁があったのです)。
 なんて話は、今は昔。前売りの席は選べなかったのですが、指定された席はハーフライン近く、尚志応援席のすぐそば、結構良い席でした。


 対戦相手は、東北の強豪でこの大会優勝経験もある青森山田。この試合から45分ハーフ、国際試合と同じ時間で戦う。
 先制したのは、尚志。前半26分、相手陣内深い、タッチライン際からフリーキックのチャンスを得る。この時、尚志はキッカーが2人立つ。沼田選手と坂下選手だ。対する青森山田の「壁」も2枚。ここで坂下選手が沼田選手から逃げるような動きをすると、相手の壁も1枚付いていく。すると沼田選手はそのついていった壁の選手の立っていたところ、空いた部分を通すキックを入れてくる。ニアサイドに走りこんで、バウンドして弾み上がったボールに足を合わせたのは、染野選手!難しいタイミング・ボールにぴたりと合わせ、青森山田のゴールネットを揺らした。そしてそのアシストをお膳立てした坂下選手、そのスペースを使って正確に蹴りこんだ沼田選手、まさに練習の賜物、技ありの得点だった。
 1-0と尚志リードで折り返した後半は、目まぐるしい展開が待っていた。
 まず青森山田が、尚志のファウルからのPKで1-1の同点に追いつくと、更に後半18分には、青森山田のコーナーキックに、キーパー森本選手がパンチングしようとジャンプした手前、三國ケネディ・エブス選手が飛び込んで頭で決める見事なシュートで、尚志は逆転されてしまう(このシュートは、対戦相手ながらほれぼれするような綺麗なシュートでした)。
 しかしここから尚志の底力が出る。逆転された5分後、左サイドバックの沼田選手が、前線の逆サイドに大きくボールを放り込む。染野選手がジャンプするが届かず、その後ろの加瀬選手へ。その加瀬選手がワントラップで相手選手の守りをはがすと、もう一人寄せてくる相手選手に対しマイナスのボールを染野選手へ。染野選手は前にトラップするが、ゴール前にはディフェンダー、更にゴールキーパーが寄せてくる、背後からも横からもディフェンダーが詰めて、4人に囲まれる状況に。その時、スライディングしてきた相手選手をかわすように右足でワントラップ、相手選手が重なる状態になったところを左足でドリブルしつつシュートコースを自ら開けて、そのまま左足でシュート。正確なロングフィードと2人の個人技で、青森山田ゴールをこじ開けた。
 更に7分後、左サイドで自らボールを持った染野選手は近くの伊藤選手にボールを預けて、前へ走る。伊藤選手は右側にいた加瀬選手にパスを出すと、加瀬選手がノートラップで、ディフェンスラインの裏に縦に押し出すような強めのパス。これが、既に走り出していた染野選手には絶好のパスとなる。キーパーが出てくるのを見て、こちらもノートラップで右に流し込むシュート。染野選手のハットトリックも素晴らしかったし、何よりこのパスワークの美しさ・見事さ・完成度の高さ!私も思わず両拳を前に突き出して、立ち上がって声を出していた。逆転し返す3点目は、これぞ「見ていて面白いサッカー」、尚志のパスサッカーの真骨頂であった。
 だがこれが決定打にならないのが、青森山田の強さ。後半残り3分で、同点ゴールを決められてしまう。90分の戦いは3-3、PK戦に入った。
 隣に座っていた、明らかにサッカー選手か経験者の若い男性二人の会話が、試合の良い解説になっていて、私も聞き耳を立てながら楽しませてもらった。その二人は大会の規定を知らなかったようで、「何、もうPKなの?この試合、延長で決着をつけさせたかったなぁ」「もっと試合を見たいよね」と話していた。確かにそれ位技術も内容も見応えのある、面白い両校の試合内容だった。
 PK戦は、残念ながら2人が決められず、青森山田が決勝進出。県勢初の決勝とはならなかった。
 勝てていたら、尚志仲村監督の高校時代の恩師率いる流通経済大柏との師弟対決…なんて事も想像したが、決勝に向けてまだ越えなければいけない「壁」「課題」があるという事なのだろう。だがベスト4への壁を乗り越えてきたように、近い将来、福島県代表が決勝の舞台でプレーする日が来る気がするし、全国制覇も夢ではないと感じた準決勝だった。特に流れの中のゴールシーンを振り返ると、この準決勝の染野選手の2点目を除き、全部ノートラップのシュートだった。シュートコースをこじ開ける場合はともかく、今のサッカーはボールを止めてしまうとすぐに相手が寄せてきて、シュートコースが狭まってしまう。動くボールを正確に打つ、この精度の高さが尚志の強さの一因だったように感じた。

 準決勝もう1試合には、豪雨災害のあった広島代表の瀬戸内がベスト4に勝ち上がってきた。震災の年にベスト4に勝ち上がった尚志と、重なるものがある。背負うものが大きく、自分以外の人の為に立ち上がる時、人は強くなれるのかも知れない。瀬戸内は0-5、嘗ての準決勝の尚志も、三重の名門、四日市中央工業に1-6だった。点差も同じ5点差だが、準決勝まで勝ち上がる度に、地元の人たちは喜び、力がわいてきた筈である。それは震災を経験した私がそうだったのだから、間違いない。

なかなか良い席で観戦できた♪
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