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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
art in autumn
 3日は『ゴジてれChu!』が柳津町にお邪魔して、全編柳津町からお送りしました。それに因んだ休日の話。

 先月の休みに、以前取材でお世話になった所へぶらっと遊びに行ってみた。
 1か所目は、西会津町の西会津国際芸術村。詳しくは今年の10月14日のブログを見て頂くとして、きのうまで公募展が開かれていて、「ぶらカメ」のロケでは展示準備中の建物の中を取材させて頂いたのだ。ただその際はロケなので、カメラで撮影が終われば次の話題を探しに町内をぷらぷらしに行かねばならず、あれだけ魅力的な展示会なのにじっくり味わう事が出来なかった。その満たされなかった欲求を満たしに、車を走らせた。
 ただ、自宅のある郡山からだと結構時間がかかる。私は普段高速道路を使わないので、下道で2時間以上。雨の中音楽を流しながら、ロケで訪れた国際芸術村へ。平日にも関わらず、何人かお客さんも来ていた。芸術村の方から、
「放送後は、来る方も多かったです。」
との言葉を頂戴。放送した喜びを実感する。この公募展の魅力を、そして廃校となった校舎を活用した芸術村の風情を、視聴者の皆様にそれぞれ味わって頂けたなら幸いだ。

廃校の校舎を利用した西会津国際芸術村(撮影はロケ当時)。
廃校の校舎を利用した西会津国際芸術村(撮影はロケ当時)。
 絵の飾られた廊下の風景も、どちらの廊下の端から見るかで全く違う。勿論絵自体も魅力的で、結局廊下を2往復しながら、芸術村の公募展の絵と風景と雰囲気を堪能した。また会場の一角では審査員が作品の魅力を紹介する動画が流されていて、それを聞いてからまた絵を見ると、理解や魅力が深まった。
 気がついたら1時間以上絵を楽しんでいた。運転の疲れもあり、1階の自分カフェで無料でコーヒーを一杯。ふぅぅ…このまったりした時間が至福。自分カフェの別の席では、芸術村のスタッフが、今後の企画等の話し合いをしている。次はどんな企画が生まれるのかな。

 昼を過ぎてお腹が空いたので、車に戻ると前日の天栄村の中継に行った際に道の駅で買った、天然酵母のパンや、メープルシロップを練り込んだパンを齧る。天然酵母のパンは、独特の酸味がたまらない。メープルシロップのそれは生地もしっとりして、パンそのものの美味しさを堪能。

公募展の頃の2階廊下(撮影はロケ時)。
公募展の頃の2階廊下(撮影はロケ時)。
 続いて向かったのは柳津町。以前木曜中継をした際にやないづ町立斎藤清美術館の方が出演し、この秋の企画展「齋藤清が見た日本 求め続けた会津 KIYOSHI’S RETURN HOME」を紹介していたのだ。中継の中でポスターに使われている絵の黄色のパズル模様は「秋の田んぼ」だと仰っていたのが印象的で、実物を観に行きたくなった次第。
 齋藤清は会津坂下町に生まれながら、幼少の頃に北海道に引っ越して以降、会津を再訪したのは30歳の時。その後度々会津を訪れるものの、実際に移住したのは80歳になってからだった。斎藤清は「故郷」会津をどのように捉えていたのか?それを、会津を描いた作品と、会津以外を描いた作品とで対比し、浮かび上がらせていく。この企画はなかなかに味わい深く、会津の絵にあって、会津以外の絵に無いものが見えてくる。
 それにしても齋藤清の作品は、明暗と色使い、そしてデザインとしての構図の捉え方がとても魅力的で、私は惹かれる。例えば柿の実―写実的にはあんなに小さく、あんな生り方はしないのだろうが、柿がある事で生まれる絵の奥行きとアクセント―、例えば蔵の白壁の剥落―模様の面白さと捉える視点―、例えば家を圧し潰すのではないかとも思わせる茅葺き屋根の大きさ―その存在感と重圧感とバランスの妙―、例えば雪の陰影や洗濯物―差し色として、そして人の営みとして―…。

斎藤清美術館。
斎藤清美術館。
 しかもここの美術館の魅力は、斎藤清の描いた風景が美術館の外にそのまま広がっていて、美術館と外の世界との境界線が無い事だ(これは齋藤清の作品を所蔵している福島市の県立美術館とは、立地条件的には世界の拡がりが違う)。美術館の中からも柳津町の外の風景が大きなガラス窓から眺められる。作品の余韻に浸りながら、のんびり眺められるのも好い(特に伺った時のような雨の日は、雨に濡れる心配なく見ていられる)。

美術館の中から見える柳津町の風景。美術館の世界と外を繋げてくれる空間だ。
美術館の中から見える柳津町の風景。美術館の世界と外を繋げてくれる空間だ。
 ポスターとなっている絵の田んぼもかなりデザイン化されているが、こういった言わば「細切れの田んぼ」は、美術館の外を車で走ってみると、今でも残っている。僅かな土地でも田畑にして日々の糧を育てたい、そんな会津の先人の苦労と努力の跡が今も町内で散見できる。そんな発見があるので、ドライブも楽しみが増える。
 ついでに近くにある齋藤清がアトリエとして使っていた「齋藤清アトリエ館」も見に行った。美術館の開館日に開けているそう。何でも親族が齋藤清の為に部屋を提供したという。

斎藤清アトリエ館。美術館にほど近い。
斎藤清アトリエ館。美術館にほど近い。
 作品を描いた部屋は、一部貴重な史料を除いてそのまま保存されている。
 また部屋からは柳津町の風景が四方望める。このあとに載せた2枚の写真のアングルは、実際に作品にもなったそう。

作品制作の間。
作品制作の間。
 そんな作品と出会う偶然も、ここアトリエ館に来ておけば、いつかは訪れるかも?!
 アトリエは3階まであるが、晩年まで齋藤清は1階とを行き来していたという。
絵のモデルとなった風景(アトリエ館から見える)。
絵のモデルとなった風景(アトリエ館から見える)。
 アトリエ館は美術館のすぐそば。駐車場は狭いので、斎藤清美術館に隣接する道の駅などに車を置いて、歩いていく事も出来る。

絵のモデルその2(同じくアトリエ館より)。
絵のモデルその2(同じくアトリエ館より)。
 さてこの企画展とともに面白かったのは、同じ美術館内で開かれている「やないづの家宝展」だ。町民の家に残る漆器や民具といった「家宝」を展示し、その持ち主に「家宝」に関する思い出話や、故郷に関する想い等を聞いている。個人的に一番興味深かったのが「おしめ様」。桑の木の棒に年に2枚の布切れを「服」として着せ続けていくものなのだが、その言われや、何よりエピソードが面白い。車が動かない話は、柳田国男の『遠野物語』くらい面白い。柳津町や会津、いや福島県の埋もれつつある素晴らしき文化は、今回の「家宝展」のような形を一つの例としてもっともっと掘り起こされ、ずっとずっと記録に残すべきだ。今回これを企画したのは、地域おこし協力隊の方々。その着眼点に敬服するとともに、今回の家宝は町の宝であると思った。時間の無い方は展示してある文字ベースのエピソードだけでも十分面白いのだが、今回「家宝」を展示の為に提供した持ち主が、もっと多くの事を語っている映像も見応えがある。時間のある方はそちらも併せて見て欲しい。映像の下には時間のバーが出ていて、映像の残り時間の目安になっているのも嬉しい。
 この企画展は、11月29日まで開かれている(月曜休館、23日は祝日のため開館し翌24日休館)。雪道運転が心配な方も、この期間中なら比較的安心して行けそう(と言っても、先日会津では雪の降った所もありました。ご注意を)。

企画展は29日まで(ポスター込みの写真は、美術館の許可を得て載せております)。
企画展は29日まで(ポスター込みの写真は、美術館の許可を得て載せております)。
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