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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
福島東高校サッカー部、ベスト8への道5
 大分戦の前、齊藤監督は、第1試合の武南と高松商業高校との試合を見ていました。試合を凝視する目からは闘志が感じられます。
 「2回戦に備えておかないとね…。」

 眼差しに闘志がこもっていた意味は、2日の武南戦当日に知りました。試合前、齊藤監督は埼玉県と福島東との関わりを話し始めました。
 「福島東は以前、浦和カップという大会に呼ばれていたんですよ。」
 この大会は春休み、旧浦和市周辺の高校を中心に行われている大会で、福島東もさいたま市になる前は招待されていたそうです。武南とも過去戦って1分け1敗、まだ勝った事がありません。
 「今の福島東があるのも浦和カップや埼玉県のサッカー関係者のお蔭という部分があるんですよ。ですからここ埼玉で地元武南を破るのが、お世話になった方々への恩返しかなって思うんです。福島東の名前を埼玉の人に忘れて欲しくないですしね…。」
 31日に齊藤監督が闘志を秘めた視線を送っていた先は、武南だったのかもしれません。

 齊藤監督の試合直前の指示はシンプルでした。「大分戦と同じ事をやろう。あきらめるな。自信を持って行け!」
 やはり、と言うか、前半は武南の猛攻が続きました。時にはサイドチェンジから、時にはヘディングを生かして、シュートを放ってきます。そして武南の特徴的な攻撃でシュートを打たれた瞬間、齊藤監督はベンチを立って指示を出しました。
 「ボランチがカバーしろ!」
 その攻撃とは、2列目からのシュートです。齊藤監督は試合前、31日の観戦で見えた武南の怖い点として、セカンドボールを挙げていました。
 「今年の武南は前の選手に一旦当てて、落としたところで2列目の選手が良いシュートを打つ特徴があると思うんです。そこがケア出来るかどうかがポイントになるかと思います。ただ…」
 このあと、こう付け加えました。
 「ただ2列目からシュートを打ってくる攻撃は、仙台育英との練習試合で経験してるんですよ。それで失点していますんで、どうしたら2列目のシュートを防げるかは、言えば選手は分かると思います。」
 福島東イレブンは武南の2列目の選手へプレスをかけたり、シュートコースを消したりする事で、失点の可能性を少なくする事に成功していたようです。ただ福島東はシュートを1本も打てずに前半を終了。0対0で折り返します。ロッカールームの齊藤監督は、手を叩きながら選手に呼びかけます。
 「0対0、OK、OK、良いじゃないか。
 サッカーは我慢だ。40分(相手の)全部のパスが繋がる訳じゃないんだ。(シュートは出来なかったけど)タイミングが良い時は(前半)あったぞ。その数回のチャンスで決めれば良いんだ。
 ただこのシステムは、後半フィジカルがきつくなってくる。でもここで自分に負けちゃ駄目だ。意地を見せようじゃないか!!」
 斎藤監督の呼びかけに、イレブンは口々に「よしっ!」「よしっ!」と士気を高めていました。
 後半、福島東も徐々に攻撃の形を作り始め、試合展開は一進一退。残り時間は刻々と減り、1つのミスが命取り、1点の重みが増していく中、後半31分、左サイドに開いていた萬代選手にボールが渡ります。
 「勝負だ!勝負!!」
 齊藤監督よりも少し高い藤本義一コーチの声が、集音マイクでもとらえられるくらいに響きました。その声に後押しされるように、萬代選手は足元にボールをおき、DFを抜く準備をします。縦方向に抜かれた時のカバーをしようと別のDFがゴール方向へ動いた瞬間でした。萬代選手はゴールと逆方向に切り返すと、DFが動いて空いたシュートコースを見逃さず、そのまま右足を振りぬきます。グラウンダーのボールは横っ飛びのGKの脇の下をすり抜けるようにゴールへ。
   「ゴーーーーーーーーールッ!!」
 NTVの村山アナウンサーの実況も聞こえないくらい、福島東の応援席がわきました。武南から先制です。
 「しっかり守れ!」
 齊藤監督の指示の意味するところをイレブンは分かっていました。出来るだけ相手サイドでボールをキープし、落ち着いて時間を消費していきます。ロスタイム3分を含めて先制ゴールから12分、試合終了を告げるホイッスル。仙台育英との練習試合を生かし、齊藤監督の的確な分析で武南を下し、埼玉に恩返しをして、県勢として17年ぶりの3回戦進出を果たしたのです。(つづく)

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